何事にも行き過ぎた事には反動がある。
元々人間は激しい変化を嫌う。
今回、アメリカの大統領選挙は意外な結果が出たように言う方が多いが、実はそうでもない。
最大の理由は、世界最強国家の大統領が有色人種の次が女性というわけにはいかないという事だ。
もちろん、僕はレイシストではなく、そういう次元の話をしているわけではない。
振子というものは右に大きく振れて、次も右とはいかない。
右に大きく振れると、その反動で大きく左に振れる。
これは世の真理である。
それを今までも体現してきたのは図らずも、アメリカ大統領選挙である。
アメリカの政治というものは2大政党である、民主党と共和党の間で振子が常に振れる。
今回も民主党が目立った成果を上げれなかった次は共和党に期待する。
直接選挙というものはそういう非常に分かりやすいロジックに基づき、結果が出る。
だからこそ、その選挙制度は危うさを大いに秘めている。
それとトランプとクリントンが発した有権者へのメッセージにも明確に違いがあった。
トランプは「俺が偉大なるアメリカを取り戻してやる、だから俺に付いてこい」
クリントンは「私と一緒にアメリカを良くしましょう」
アメリカ人の多くは、クリントンを代表とする民主党の高学歴でスノップな層の、
その場限りの民衆に媚びを売るような言葉に騙されなかった。
今や人種層においてマイノリティが白人を凌駕し、また白人の貧困層も広がるアメリカにおいて、
誰も政治家が自分たちの味方だとは思っていない。
リベラリストと呼ばれる民主党・クリントンは、いつだって「哀れで賢くない人達は私の言う事を
黙って聞いとけば良い」という驕りを感じさせた。
それを全く本心にない「stronger together」なんて安っぽい言葉を使うからみんなに響かないのだ。
翻って、トランプの言葉は力強かった。
彼は下品だ。
でも常に本音で物事を喋る、もちろんそう見えるようにだが。
ただ、これは既存政治家にはなかった事だ。
「黙って俺に投票しろ。俺が幸せにしてやる」
元々アメリカは強い父親という家庭のコンセンサスがあった。
これが無くなりつつある今、また求められようともしている。
古くは西部劇のスター・ジョン・ウェイン、ダーティーハリー役のクリント・イーストウッド。
父親・大人の男は常にタフガイであるのがアメリカの偉大な父親像である。
偏屈だが力強く、しかし心根は優しい、そのイメージは非常にトランプにも重なる。
今や、アメリカの国民は自力で幸せになるのを放棄しつつある、それはなぜかというと
余裕・余力がないからだ。
だからこそ「俺を信じれば必ず幸せにしてやる」
そんな新しくも古いリーダーに付き従い、次の4年を賭けてみようと思ったのではないだろうか。
ただ先ほども書いたが、アメリカの大統領選挙の制度は実質的に直接選挙と言える。
これは危うさを大いに秘めている。
巨大国家の次の時代が、具体的政治手腕は全くもって未知数の者に、巨大な権力を
こうも容易く与えてしまう結果も導いてしまうのだ。
ポピュリズムが国家を左右する危うさ、これこそ振子の根源でもある。
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