ベースボール・マガジン社発行の「SWSプロレス激闘史」を読んで思うこと

 今はなき週刊ゴングのネガなどの資料は全て、かっての仇敵週刊プロレスを発刊する、
ベースボール・マガジン社が
保有していると聞いたことがある。



今回のSWSの特集号の写真なども全てそこから使われたものだろう。



それが素直に悲しかった。





今の若いプロレスファンは知らないだろうが、かってSWS(スーパー・ワールド・
スポーツ)というプロレス団体が二年ほどの短い時期であったがプロレス界に存在した。


全日で天龍革命を成し遂げた天龍源一郎が、新たなテーマを求めて移り住んだ地であった。



ただ、色々なトラブル、誹謗中傷、内部トラブルもあり、あえなく短期間で崩壊。



ただ、その苦悩の時期が風雲昇り龍の背中に風格を増させ、レスラーとして更なる高みに登った事は事実だ。





あの時、まずは週刊プロレスのバッシング、「天龍は金で動いた」のくだりに多くのファンが流され、天龍の元から去って行った。



プロレス大賞男は一気に業界一の鼻つまみ者とされてしまった。



当時僕は悔しかった。



レボリューションと呼ばれた、あの一生懸命の天龍同盟の戦いが金のためだけであったわけがないではないか。



ファンは一体今まで天龍源一郎の何を見ていたんだ、と歯ぎしりした。



そして、僕は絶対にSWSを、天龍源一郎を応援していこう!と誓った。



確かに天龍以外のレスラー、特に道場・レボリューション以外のレスラーは一部を除き、しょっぱかった。



銭が取れるレスラーが天龍以外少なかったのは事実だ。



でも、あのスタート時のあのクソ編集長の偏執狂的なキ○ガイ記事がなければ、そしてそれにファンが
騙されなければ
SWSはもう少し長続きし、プロレス界に何らかの足跡を残すことが出来たのではないかと僕は思う。


その時、ライバル誌だった週刊ゴングは冷静、公正のスタンスを崩さず、僕らに情報を伝えてくれた。



週刊ゴングを、その時の編集長の好き好みで特定の団体・レスラーを取り上げすぎるという人もいたが、僕はそう思わない。



金沢編集長は分からないが、SWS当時の小佐野編集長時代はどの団体も公平に取材し、フェアな記事だった。



なので僕ら愛読者はそこから客観的にプロレス情報を得ることが出来た。





僕はあの時に「ああ、マスコミというのは公平中立をモットーにきちんとした情報発信しなくてはダメだよな」と思った。



週刊プロレスは明らかに偏向、誘導報道で、正直マスコミではなく思い込みの羅列、フィクションの極みだと思った。



この頃に僕は長年続けていた毎週プロレス2誌購入をゴングだけにした。





あれだけ誹謗中傷した週刊プロレスをSWSは取材拒否とし、写真などの資料も持ちえているわけはなかった。




あれだけ頑張った週刊ゴングの資料が、散逸することがなかったのは良かったが、週刊プロレスの手にあり、
今回の
ような特集号が作成されるということは私としては腹立たしい限りだ。


あの頃、週プロと週ゴン派にファン側も分かれた。
僕らファンも一緒に戦ったのだ。



その時、よく言われたのが天龍に対するバッシングだった。



僕がいくら天龍源一郎の正当性を説いても、あのクソ編集長に洗脳された奴らは何も受け付けなかった。





余談だが、WAR、新日と天龍が戦う場所を変える中で、また天龍を見直す者もいたが、僕としては
「何なんだよ!」
という気持ちは強かった。


僕は何があっても天龍源一郎を絶対に応援していくぞ、とSWSバッシングの時に心に決めていた。



だから、そういう奴らには、都合が良くなったら寄ってくるのかよ、と思った。





何度も書くが、今回の発刊は本音としては腹立たしい。



それはSWSの事をみんなに知ってほしいという思いはあるが、それがベースボール・マガジン社により、
週刊ゴングの
資料を使って行われた点だ。


それとこれはしょうがないと思うが、不満がもう一つ。



それは、現在の週刊プロレスのライターの手ではなく、フリーの方達が主で編集されているように見受け
られ、結果として
ベースボール・マガジン社、ひいては週刊プロレスからの業界への懺悔・謝罪が何一つ書かれていない点だ。


当時メガネスーパーという大親会社が付いて、もしかしたらプロレスがもっと飛躍的に発展するチャンス
であったかも
しれなかったのに、それを潰してしまったのは明らかに週刊プロレスの偏向報道に一因があったのだ。


本誌には当時のあのクソ編集長(名前も書くのも嫌だ)も馬鹿みたいな記事を寄せているが、こんなふざけた
のではなく、
総括をして欲しかった、せっかくSWSという冠がついた雑誌を出すのであれば。




溜飲が一つだけ下がったのは、当時の元週刊ゴング編集長・小佐野景浩氏の寄稿だ。



SWS時代、僕は大学生だった。



僕の人間形成の中で、あの頃のゴングの姿勢、記事は大いなる指針となった。



小佐野氏は「漢」だと僕は思う。



本来はベースボール・マガジン社に自分たちが戦った資料を使われ、記事を寄せなくてはいけない、
自分たちの力で発刊する
事が出来ない、その小佐野氏の無念は計り知れないと思う。


でも、僕はそれでも20数年前と変わらぬスタンスでの記事に深く感銘した。





中身の記事自体は物足りないものもいくつかあるが、フリーライターの方達の長年に渡る取材の賜物で、
巻頭の記事などは
あの頃を思い出させ、思わずウッと来るものもある。


ただ、最後に書きたいのは、この誌に天龍源一郎への直接取材がないということ自体、体を成していないということだ。



それだけははっきりしている。





もしかしたら、天龍さんはそれだけは許さなかったのかな?



あのバッシングしたベースボール・マガジン社にSWSを語らせるかよ、という。



考え過ぎかな(笑)

 
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