上田馬之助 自叙伝 「金狼の遺言」

 今回、今は亡き稀有の名悪役レスラー・上田馬之助の自叙伝である、
「金狼の遺言」を購入して、読んだ。

その感想を下記に記す。

そこにはレスラーとしてのプライドが切々と記されていた。

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「まだら狼」

僕は幼き頃プロレスをTVで見ていて、上田馬之助が怖かった。

あの頃の日本では正直言って、金髪なんてチ〇ピラかホ〇テスしか
そんな髪の色はしていなかった。

だから、その悪に徹するリング上でのファイトもそうであったが、
その出で立ちも見るだけで、非常に怖かった覚えがある。

だがそれは上田が正真正銘の「プロレスラー」だったからである。

上田は本著で言う。

プロレスラーは普通の人と違う存在でなくてはならない。

一般人に舐められてはならない。

もちろん、セメント(ガチンコ勝負)でも強くなくてはいけない。

その凄味が溢れ出るほど、全盛期の上田の体内に充満していたからこそ、
幼き日の僕は畏怖していたのだと思う。

上田は現状のプロレス界を嘆く。

本当のプロレスラーがいない。

確かにその通りである。

僕達ファンは自分がどう逆立ちしたって敵わない、圧倒的な力を持つ
そんなレスラー達が見たくて、お金を払ってプロレスラーを会場に
見に行くのだ。

上田はプロレスの本質を説く。

お客さんは攻撃するレスラーを見て、「プロレスラーの蹴りは凄いな」
と感じる人もいるし、逆に受ける方を見て、「あんな凄い攻撃を受け
続けるプロレスラーは頑丈で凄いな」と感じる。

プロレスというものはそういう事だと思う。

お互いの役割と試合が成立する事の面白さ、それがエンターテイメントと
してのプロレスの魅力である。

この点がプロレスのプロレスたる部分なのである。

上田はリング上では派手で非道の限りを尽くしていたように見えるが、
実は心穏やかで誠実、ストイックな小心者であったことがよく分かる。

師の教えを守り、裏切りにも耐え、コツコツと自分なりのプロレス道を
歩んできたのだろう。

それがアメリカや日本での成功へと繋がる。

結局プロレスというものはインテリジェンスな者でないとこなせないと
いう事だろう。

上田はもちろん「ビジネスとして悪役をやっていた」のだから。

プロレスラーの背中には自分の人生が書いてある。

それを感じ、我々ファンは酔う。

そういうレスラーの背中に僕は非常に男のロマンを感じる。

僕はそういうプロレスが大好きである。

上田馬之助はまぎれもなく、日本が誇る「プロレスラー」であったのだ。

是非、本著をご一読いただきたい。

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