俺はプロレスラーだから

 阿修羅・原というレスラーをご存知だろうか。

阿修羅・原

僕が大好きなレスラーだった。

こういうエピソードがある。

大雪の降る東北のローカル駅のホームに、盟友・天龍源一郎と電車を待っている阿修羅・原
に向かって、天龍が言う。

「阿修羅、そんな格好で寒くないの?」

その日の気温は氷点下、吐く息は口から出ずる瞬間に白く凍りつく。

天龍は分厚い皮ジャンを羽織ってはいたが、一方の阿修羅は半袖のTシャツ一枚だった。

阿修羅はその質問に対して、ニヤリと笑いながら言う。

白い息を吐きながら。

「でも源ちゃん、俺はプロレスラーだから」

レスラーは己の身体のみが商売道具。

だからその商売道具を隠すわけにはいかない。

プライベートでも自分はプロレスラー。

そのプライドをどんな時でも、一瞬でも気を抜かないで、全うしていく。

その姿に美しさを感じる。

理解できない方も多いかな。

プロ意識、職業意識。

僕は洋服屋だから、何に拘ればいいのかな?

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