僕が煙草を吸わなくなった日

僕は煙草は吸わない。
それは大学を卒業する時にある人に言われた言葉に起因する。
だからと言って、別に煙草をやめたほうが良いと声高に言いたいわけではない。
煙草は嗜好品なので、個人の自由だ。
僕は自分の自由が大切なので、他の人の自由も尊重する。
それに僕は煙草を嗜む人との同席も、いたって構わないタイプの人間である。
酒席での紫煙はセットだとさえ思うし、女性がグラス片手に煙草を繰る姿は好きだ。
ただここでは自分の思い出をつづる。
僕は大学生の頃、毎日煙草を2箱吸っていた。
卒業間近の僕が力仕事のバイトをしていた時の話だ。
確か、卒業式の前日だったと思う。
僕が休憩時間、惰性的に煙草を吸っていた時だった。
一緒に働いていた、ある年配の方が僕に近付いてきて、こう言った。
 明日から君も社会人だ。
 煙草は今日限りでやめろ。
 自分で明日から稼ぐ大切なお金をそんなことに浪費するな。
 それでも吸いたくなったら、一人前になってから吸え。
 
 きっとその頃には吸いたくもなくなってるけどな。
いつも冗談ばかりで周りを笑わせていた方が、初めて僕に真顔で言ってくれた言葉だった。
そのバイトの帰り道に、残っていた煙草と大切にしていたライターを捨てた。
少し大人になった気がした。
あれから、一度も煙草を吸っていない。
吸いたいと思った事もない。
まだまだ一人前には程遠いという事なのだろうか。
 

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