元西武流通グループ総帥・堤清二氏が亡くなって思う事

 流通小売業というモノは、日本の産業界の中では戦後の闇市の成り立ちなどから考えられる

のか、非常に軽んじられる傾向にある。
それは以前からであり、なかなか払拭できない。
だから気骨ある方が経営者として多いのかもしれない。
古くはダイエー中内オーナー然りだ。
旧態依然、既得権益、守旧勢力との戦いを日夜続け、戦後の復興を遂げたのもクローズアッ
プされるのはメイドインジャパンであったかもしれないが、その台所を支えたのは流通小売
業に命を燃やした革命児達であったはずだ。
そんな中で少々異色の存在であったかもしれない、堤清二氏が亡くなった。
流通業界に常に新しい風を送り込み、また文化活動にも理解があった。
余談だが、私の大学の卒論は「企業経営とメセナ活動」であった。
今では内容も覚えていないが、堤氏の業績の事を一生懸命調べた覚えがある。
筆名「辻井喬」としての作家活動も相まって、青臭い書生だった僕はとても興味を持った。
そんな堤氏が亡くなって、小売業界のトップの方々からのおくやみの言葉が各マスコミから
聞こえてくる。
晩年は流通業とは全く関係なく、文壇活動に重きを置かれていたためか、通り一遍の言葉
ばかりで少々寂しく読んでいたが、その中でライフコーポレーション会長の清水信次氏の
コメントが嬉しかった。
清水氏のコメントはいつでも優しい。
それは方法論は違ったのかもしれないが、重厚長大な産業、国策に則った企業、財閥系など
にさげすまれながらも対立し、自己が掲げた高邁な理想を追い求めた同志への、手向けの
言葉として秀逸である。
 
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