大学のサークルの思い出 その2

 今でも変わらないかもしれないが、ある程度の人数を確保でき、それを組織票として活かす

事が出来るのはクライアント側としては非常に魅力的な事だ。
僕が大学生の頃は、星の数ほどいた広告代理店が学生を何とか抱え込んで利用し、その人数
で企業側から広告代などのお金を引き出す事に熱心だった。
僕がいたサークルはイベント企画のサークルで、イベントをやるにはお金がいる、そこで
広告代理店との接点が生まれた。
彼らは学生を上手く使って、何とか企業側からお金を引っ張りたい。
僕らはそういう代理店のあざとさを感じながら、でも自力だけでは心許ないので、上手く
付き合う必要があった。
学生を利用した商売で一番大きくて美味しいのはリクルート活動だった。
企業側としても、たくさんの学生との接点を持てる代理店を重宝した。
そのバーターとして、僕らはイベントへの協賛を求めた。
あの頃も思ったし、今でも思っている。
だから、その業界に就職しようとも思わなかった。
「この商売は虚業だ」
僕らを利用しようと志の低い大人たちがたくさん寄ってきた。
そのたびに絶対にこいつらみたいな大人にはならないぞと思っていた。
そして、いよいよ福岡もバブルが崩壊し、大不況に突入して行った。
僕の実入りも一気に減った。
あの頃、美味しかったのは代理店から依頼がある「来週のイベントに学生バイトがいる
から、数人連れてきてくれ」だった。
僕は上前をはねて、学生バイト達にバイト代を渡す。
現地で学生の管理をすると、代理店側も僕を信頼し、次の仕事も来る。
代理店から来る依頼には適切に応える事で信頼されていった。
でも、この美味しい仕事も数は減っていった。
そうこうしている間に僕は3年生になった。
久し振りにサークルに顔を出した。
僕がお金儲けに夢中になり過ぎている間に、サークルはガタガタになり、10人も残って
いなかった。
その10人は最後まで残っただけあり、1年生の頃から仲が良い男女だった、僕を除いて。
4年は就職活動だから(こいつらの代がサークルをガタガタにした)次の代表を決める事に
なった。
僕はその話を聞きながら、明日市役所に持って行くフリーマーケットの企画を頭の中で
推敲していた。
その時不穏な空気を感じ、目の前の世界を見た。
どうやらその仲が良かったはずの男女達がいがみ合っているようだ。
どうやら誰も代表に成りたがらないらしい。
嫌な予感がしたが、やはりその後僕にお鉢が回ってきて、僕はサークルの代表になった。
こういう事は昔から多いから慣れっこだ。
僕は目立ちたがり屋では決してない。
だけどなぜか、そういう役割が回ってくる、まあ良いけど。
でも問題は、その件で仲が良かったはずの10人の関係がおかしくなってしまった事だった。
前途多難で何もサークル内の事情が分からず、また通じている人間もいない僕が代表かよ、
そう思って眩暈も感じたが、一度約束したからにはやらざるを得なかった。
その時にも感じたが、その10人の中の男たちは自分が仲の良かった女の子たちや仲間に
対して責任感はなかったのかなと思った。
そして、何で僕が責任感を感じてやらないといけないんだよ、と憤りも感じた。
まあ、良いけど。
取り急ぎのまず一番目のイベントは学祭での露店出店だった、果たして。
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