大学のサークルの思い出 その4

 4年生になった僕は早々に就職も決め、結構不足していた単位を取る事と、相変わらず

商売に励んだ。
そんな時に以前から商売上で付き合いがあった、学生だけど出版社付きの広告代理店にいる
人に声を掛けられた。
その頃の年間最大のイベントはミスコンだった。
今でも東京の大学はやるようだが、以前福岡では毎年学祭でそれぞれの大学のミスを選出し
それを全体で集めて、グランプリをやるイベントが定番化していた。
僕が入学したばかりの頃は盛大だったが、そういうイベントもかなり低迷傾向にあった。
その人が僕にこう言った。
「今年は長崎のハウステンボスが協賛についてくれたから、バスツアーを組んで学生を
 1000人ハウステンボスまで連れて行って、そこでミスコンをやろう」
「そして、その中心人物をお前がやってくれ」
僕は今でも何でこの人が僕にその任を与えたのか分からない。
でも、僕は即答で快諾した。
それからの2か月間、色々な事があった。
企画、立案から始め、企業回りなどなど、大学にはほぼ行かなかった。
ただ、気分が高揚しているから、全く疲れは感じなかった。
とにかく成功させる、この一念だった。
当日も色々な問題があったりもしたが、結果的には1000人を超える学生が集まってくれ、
そのイベントの実行のために集った学生も30人以上になった。
毎日ほぼ徹夜に近い状態でみんなで頑張った。
僕も帰りの運転する車で、居眠りで事故りそうになるぐらい疲れたが最高だった。
みんなが喜んでくれて、何かを成功するというのは本当に良い事だと知った。
そして諦めない事も学んだ、初めから出来ると思ってスタートする事が大切だと思った。
それに、チャンスは急にやってくる、それを掴むために用意しておかないといけない、
という事も気付いた。
さらに、誰かが自分の事を見ていてくれてるんだなと思った。
僕に期待してくれた人に恥をかかさずに、良い結果に終わって本当に嬉しかった。
お前にしといて良かったよ、と言われた時に目の前が曇ったのは確かだ。
僕はこのイベントが学生の時のハイライトだったかもしれない。
今思い出すと、一瞬の事だったような気もするし、最近の出来事のような気にもなる。
細部を覚えていないような気もするし、他人の記憶のような気もする。
でもイベントが終わって見上げた、あのハウステンボスの夜景は忘れられない。
そして、僕はこの事で自信を付けて、3カ月に控えた社会人としての第一歩を踏み出して
いった。
この事のお陰で僕は大人になる準備が出来たと思う。
まあ、その後、社会人になってコテンパンにやられちゃうんだけど、それは別の話だ。
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