汚れた顔の天使

大学生の頃は毎日が暇でしょうがなかった。

夜にバイトしていたので、昼間はいつも映画を観たりしていた。

いつものように繁華街を歩いていて、たまにはミニシアターのような場所で、昔の映画でも
観てみようかと思い、入った映画館でたまたま座った時に、上映されていた映画だった。

汚れた顔の天使(Angels with Dirty Faces アメリカ 1938年)

2人の幼馴染が大人になり、1人は牧師に、1人は暗黒街の顔役になっていく。

いつの世も黒い力は無垢な少年達の憧れだ。

マフィアの階段を駆け上がる彼は、町の貧しい少年達の立身出世の目標だ。

だが、ついに捕らえられ、死刑を執行される日、幼馴染の牧師が最後の説法に訪れる。

そこで彼は友として、最後のお願いを旧友にする。

「みんなが君に憧れないように、神格化しないように、お願いだから死刑執行台の前に

 立ったら、死を怖れ、泣き叫び、命乞いをして欲しい」

その場ではもちろん断る彼。

いざ、死刑執行の瞬間。

彼は醜く、死への畏怖を吐き出し、身悶える。

牧師は驚き、何も言わず、友の熱い思いを抱き、友の死を悲しみ、友に感謝する。

子供達は、彼の死の瞬間の惨めさを噂に聞き、幻滅する。

牧師は何も言わない。

ただ友情の重みを自分の心にしたためて。

ただ感動した。

現実世界にこういうことはあるのかな。

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