現物を売る

「現物を売る」という言葉があります。
現物とは今、目の前にある在庫のことです。
営業マンは、よく今月の個人売上が未達の場合、
「商品の上がりが来月にずれました」
と、言います。
ただ、目の前に在庫がある場合は、売るものはあるよという事です。
そこで、現物を売りなさいとこちらは言うわけです。
ただ、現物をどうやって売るのかというのは問題です。
たまに現物を売りなさいと言うと、上がってきたばかりの高く売れそうな
商品を安く売ってくる営業マンがいます。
全く理解していません。
個人の売上のみに立脚した自己満足であり、組織に対しての背信行為です。
在庫を売りなさいと言われて、見た商品は大体が売れ残りの一歩手前の
商品であることが大概です。
売りにくい商品が在庫として現物で残っていることが多いわけです。
僕が、この商売で最初に教えられたのは、
「売れない商品をいかに創意工夫して売るかが営業の仕事」
でした。
それこそ自分の知恵をフルに絞って、いかにお客さんに買ってもらうかです。
そこには営業マンとしての醍醐味があります。
やり方は千差万別。自分流です。
ある人は人間としての自分を売り込み、お客さんに「君が言うなら」で
買ってもらうやり方。
ある人は売れている商品との抱き合わせで買ってもらうやり方。
いくつもの方法が自分に合わせて考えられます。
もちろん損を極力抑えて、何とか利益を乗せて売ろうとするわけです。
そこには商売の楽しさがあります。
もちろん、現物=在庫にならないように商品企画はしなくてはいけません。
でも、僕は売れない商品を何とかして販売しようという営業マンが
好きです。

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