配属先は

先日書きましたが、地方の大学の出の、私としては就職に際して、
中心部への憧れが強くありました。
憧れ以外にも、大きなマーケットを相手に仕事をした方が、
やりがいもあるし、自分も成長できるのではと思っていました。
しかし、ガッツのなかった私は、自費で東京や大阪に行き、
就職活動をするという選択は、最初からなく東京、大阪に
支店がある、福岡の企業を最初からターゲットにしていました。
その中でも私が最終選んだ企業は、新入社員は必ず半年以内に
東京または大阪の支店に配属すると募集要項に謳ってありました。
私がその会社を選んだ一因はそこにありました。
入社後1ヶ月間ほど研修を、他の同期の仲間と受け、配属が
発表される日が来ました。
私は、もちろん自分は東京か大阪に行って、大活躍をするものと
思っていたので、寮に入れた荷物はすぐに転勤するんだから
そのままでいいやと、荷解きもしていませんでした。
会議室に新入社員全員が呼ばれ、社長から配属についての説明が
あっている時でも、心はうわの空でした。
正直、心は東京か、大阪で働いている自分の姿に飛んでおり、
「大阪店は現在低迷しているから、僕が行ってテコ入れするか」
「東京店は基幹店だから、ふんどし締めてがんばらないとな」
などなど、夢想しており、うっかり自分の配属先を言い渡す
社長の声を聞きそびれるところでした。
「えっ?」
はっきりと言葉に出して、聞き直してしまいました。
「きみは福岡本社の、○○○○事業部に配属になりました」
そりゃないよ!社長~!
私は心の中で連呼しました。
愕然として、会議室を出ました。
東京、大阪に行けなかったという無念の気持ちはもちろん、
それプラス、福岡本社でもみんなが嫌がる、あの事業部に
配属になるとは!!
その日は寮に帰って、夜遅くまで荷解きをしたのを覚えています。

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