たまにプロレスを観た事がない人達を、会場へと誘う事がある。
元々それは純粋に、僕に色々な事を教えてくれたプロレスに、恩返しがしたいという気持ちからだった。
でも、最近の僕は連れて行った人達に胸を張って「プロレスって面白かったでしょ?」と言えないでいる。
それは僕自身が今のプロレスに対して違和感を感じているからだ。
プロレスとは、どこにでも居そうなアンちゃんがちょっと身体を鍛えてやるような代物ではなかったはずだ。
僕はアマレスを観たいわけでも、格闘技を観たいわけでも、器械体操を観たいわけでもない。
僕が観たいのは、そんじょそこらにいないような体躯を与えられた男達が見せる、男と男の戦いであり、人生ドラマである。
今のプロレスにはそのどれもないように感じている僕がいる。
「プロレスってショーなんでしょ?」
今まで何度となくそういう質問を浴びせられてきた。
その度に以前の僕だったら「天龍源一郎の試合を観てみろよ」と言っていた。
その拠り所であった天龍さんも一昨年引退されてしまったので、もはや反論する事すらできなくなっている。
でも今でもそうだが「プロレスって何?」と問われれば、僕は「天龍の試合を動画で探して観ろよ」と言う。
特に1987年~1990年までの天龍同盟時代の戦いを観て欲しい。
あの灼熱の太陽のように熱かった、あの時代を。
2017年6月4日、あれから30年が経った。
あの日、プロレスは新しいスタート地点に立った。
天龍源一郎と阿修羅原がたった2人で駆け出した愛社精神溢れる反
天龍革命と呼ばれたそれの素晴らしさは、
だからこそ業界全体へと波及し、
天龍さんも昨年引退、原さんは昨年鬼籍へ入られ、
それが素直に悲しいが、我々ファンの心には毎年この日になると、
実生活で挫折しそうになった時、何度となく、
今でも心折れそうな時はあの全力疾走の革命を思い出し、
天龍同盟よ、永遠なれ。