さあ、次はいよいよメインの試合だ。
セミも決して悪い試合ではなかったが、当然メインが目当てだ。
心臓の鼓動はうるさいぐらいだ。
胸が期待で張り裂けそうだ。
そうだ、俺たちは世界を変えたいんだ。
WE ALL WANT TO CHANGE THE WORLD!
早く、もっと早くと思う気持ちと、このはやる気持ちを楽しみたい、そんな矛盾する感情が
渾然一体となって、主役の出番を待ちわびている。
今日はどんな試合を見せてくれるのだろうか。
今、僕の頭の中には仕事も、何もかもない。
ただ、プロレス。
それだけだ。
不意に会場が暗転し、一瞬の静寂後、慟哭のような雷鳴が轟く。
観客のどよめきが歓声に変わり、高中正義のゆっくり迫りくるようなギターリフが大音量で
お目当ての存在の登場を我々に伝える。
我々観客は、
できることといえば、
早く、早く。
もう興奮は限界だ。
声を張り上げて、大コールを送る。
そしていつも通り、ワンフレーズ終わった瞬間、
館内は大天龍コール、それは耳をつんざくような迫力だ。
僕もその中の一翼を担っている。
幸せだ。
天龍源一郎はいつもの不機嫌そうな仏調面で、ゆっくりとリングに歩を進める。
いつまでも見ていたいような、でも早くリングに上がって欲しいような、いつも複雑な
気持ちになる。
煽るようにギタープレイは激しく旋律を刻む。
さあ、いよいよ試合の開始だ!
天龍源一郎プロレス35周年記念興行
Revolution~WE ALL WANT TO CHANGE THE WORLD~
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