去る5月3日、14時に僕は会社を出た。
15時からの福岡国際センターで開催される新日本プロレスの興行を観戦するためだ。
地下鉄で行こうかと考えたが、ふと思いつき、徒歩で3キロの道程を行く事にした。
正味40分ほど歩きながら、僕は今日の見どころを考えた。
思えば、本日のメインイベントはIWGPの選手権試合であるが、僕はその選ばれし
2名を生で見たこともなければ、バックグラウンドも知らない。
こんな事で今日の大会を心より楽しめるのか、少々複雑な気持ちだった。
私見ではあるが、プロレス観戦に予備知識は欠かせない。
レスラーの人生をリング上で垣間見る、そんなプロスポーツはプロレス以外にない。
それをもっと楽しむには、レスラーのこれまで歩いてきた足跡を調べ、リサーチをして
おくと、何倍も楽しめるはずだ。
お勧めする。
会場に着き、着席する。
そうは言いながらも、僕のプロレスの楽しみ方はいつも一定している。
「変に先を読んだり、結果を深読みせず、目の前で起こるありのままのプロレスを楽しむ」
である。
結局は試合が面白ければ良いのだ。
先程の予備知識はそのサポートをしてくれるに過ぎない。
久し振りに獣神サンダー・ライガーや、鈴木みのる、テンコジなどのファイトを見ると、
自然に声を発してしまう自分がいる。
最早、ベテランのポジションにいる彼らがまだまだ終わらないぞ、という気概は僕に元気を
与えてくれる。
頑張れアラフォーレスラー達よ。
試合はメジャー団体らしく、小気味良く進み、あっという間にメインイベントだ。
チャレンジャーの後藤も、チャンプのオカダも名前ぐらいしか知らない。
でも、試合は結構面白かった。
最後はオカダが必殺技・レインメーカーで決めたが、後藤もこれで男が下がる事はあるまい。
やはり、プロレスというものは受ける事が大切だと再認識した。
相手からの攻撃を決して、逃げたり、すかしたりせず、正面から真っ向から受け止める。
それが我々ファンが一番求める所ではないか。
24分の試合時間の中で、両者の戦いのやり取りは十分我々ファンを満足させてくれたように
思う。
ただ、メインイベントを締めたレスラーが、マイクアピールで観客から失笑をもらうようで
あってはいけない。
もちろん、オカダはこれからの選手であろう。
数年前の棚橋のように、上で使い続けられれば、その内本当のメインイベンターとなる逸材
であると思う。
頑張れ、オカダ。
久し振りに新日観戦をして思ったことが一つ。
しょうがないのではあろうが、「新日というのはこういう団体!」という部分が今一分から
なくなっているという事だ。
全ての平均点はもちろん他の団体より抜きん出ている事は間違いない。
ただ、では新日の一番いい所は?と聞かれると、パッと口から出て来ない。
総花的に感じたのも確かだ。
我々の業界で言うと、「デザインという個性を捨てて、シンプルにし、その代りに素材と
品質を上げました。その結果、さまざまなお客様に喜んでいただいています」といった感じ
であろうか。
もちろん、トップ企業の戦略としては正しい。
ただ、僕好みではないが。
最後に、僕は今回グッズコーナーで、新日のトレードマークであるライオンマークの
Tシャツと「内藤哲也」選手のTシャツを買った。
内藤は以前よりチェックはしていたのだが、今回の観戦でますますファンになった。
自分の欲をむき出しにしている姿勢には好感が持てる。
タッグ戦で試合には勝っても、自分がピンを取れなければ悔しがる、そういう姿勢が
大切だと思う。
プロレスに良い人なんか必要ない。
みんなでギラギラと魂を燃焼させてほしい。
我々ファンはレスラーのそういう背中に勇気づけられたいのだ。
是非、内藤には自身の目標である30歳までのIWGP奪取を達成して欲しい。
そういう内藤の人生を見つめていきたい。
頑張れ、内藤!