アパレル評論家やコンサルタントの人達に言いたい事

アパレル業界が不況だと言われて久しい。

 

それがなぜなのかという説明を、昔この業界で美味しい思いをされた諸先輩方が色々な講演会で

語られたり、業界誌や一般紙に寄稿されたりしている。

 

彼らは一様にこう語る。

 

「昔のアパレルは夢があった、それをダメにしたのは他でもないアパレル自身だ」

 

「アパレルは売上と利益を追い求め過ぎたのが失敗だ、昔はそんなことなかった」

 

「効率重視でスキがなくなってしまい、面白い商品を作れなくなってしまった」

 

まあ難しい言葉を羅列されるが、大体総じてこういう言い回しだ。

 

彼らはいつだって木で鼻を括ったような言い方をする、僕はそれが気に食わない。

 

 

彼ら諸先輩方(嫌味で書いてる)はアパレルという商売がぼろ儲け出来た時代を生き、それを

我々次の世代の幸せのためには全く残してくれず、食いつぶしてしまい、そればかりか

業界から逃げ出し、今では自分達は痛みを伴わず、高見の見物だ。

 

「今のアパレルには夢がない」と宣う彼らの中の誰一人として、自分でアパレル会社を

現在やっている奴はいない。

 

「かってのアパレルには夢があった」そう言うならば、なぜ今でもその仕事を続けないんだ?

 

 

彼らの今の肩書は、評論家やコンサルタントってやつだ。

 

今の状況で昔のようにやっていてアパレルで夢を見れると言うなら、自分でアパレルを

なぜ立ち上げない?

 

自分がお世話になったアパレル業界のために、身銭を切ってみせてはいかがなものか。

 

我々後輩にお手本を見せてくれよと言いたいとこだ。

 

絶対にやらないだろうけど。

 

 

彼らは本心では分かっているはずだ、今の自分たちの経験則では絶対にアパレルで利益を

出す事なんか出来ない事を。

 

昔だって別に彼らが特別優秀だったわけではない。

 

ただ、時代がアパレルにフォローだったのだ。

 

そういってはなんだが、ある程度やれば良い結果がでる、そんな時代だったのだ。

 

だから、みんなその後逃げ出しているではないか、ねえ先輩方。

 

僕は彼らの無責任なアパレル評論に吐き気がしそうだ。

 

 

そして、業界外やこれから業界に就職を希望する人達が、その妄言に翻弄されない事を

期待する。

 

この業界はきっとこのまま良くならない。

 

それは日本という国、いや世界全体が成熟化、衰退化していく中で、洋服という商品が

もはやプライオリティが高いものではなくなってしまったからだ。

 

たださえ、物質社会、消費社会を人間が否定し始めているのに。

 

モノを買うという事を否定する世の中に突入しようとしているのに。

 

その中でも一番重要度が低いアパレルが、いくら業界がゴチャゴチャやっても大きな

流れに抗えるわけがないのだ。

 

もう洋服なんかそんなにたくさん要らない時代が来ているのに、売れない理由を

こねくり回すのはナンセンスだ。

 

 

そもそもアパレルメーカーとは、、と語る年寄りは多いが、僕から言わせると

アパレルは決して製造業ではない。

 

メーカーとはただの業界内での区分けのためのものであり、他分野から見るとそれは

そうではない。

 

アパレルメーカーというのは僕を含め、加工ビジネス屋だ。

 

だからこそ設備投資を必要とせず、小資本で始められるビジネスとして、多くの起業家を

生んだのだ。

 

ただ、昔のように業界に隙間や余裕はなく、大いに努力が必要である。

 

 

僕は思うが、利幅が少なくなっているので、人を減らし、組織をこじんまりとさせ、

その代わり所属する人間は思い切りフル稼働し、そして足を使って売れる商品を探し、

ゲリラのように行動し、考えて、急いで作る。

 

これをフーフー言いながらずっと続け、毎日を一生懸命駆け回るしかないんじゃないかと思う。

 

昔から実際は地味な商売だが、ますますもっと地味に徹しなくてはいけない商売になった。

 

こんな事、昔良い思いをしてブクブク太ったおっちゃん達に出来るわけがない。

 

アパレル業界がなぜ不況なのか?なんて不毛な事を語るのはもう止めようじゃないか。

 

 

でもこんなに卑下しながらも、自分が考えた商品がヒットしたときの喜びは何物にも代えられない。

 

この商売の良いところは「今日努力したら明日何らかの結果が出る」とこだ。

 

将来の事を考える余裕はないけど、コツコツ毎日を積み上げていくしかないよな。

 

それを理解して地味に頑張ってやっていくしか、もうこの商売ではやっていけないと

業界歴20年を越えた僕は思う。

 

浮ついたこと言わずにね。

 

 

最後に一言

 

僕とか絶対にコンサルタントなんか出来ないな。

 

自分の言った事とやっている事の辻褄が合わないなんて、気が狂いそうになるはずだから。

 

自分の言葉に対して、責任とらないで良い商売なんか、ペテンと一緒だからだ。

 

 

 

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