1990年はプロレスというモノに大きなうねりが起きた時代である。
その前触れとして、旧態以来とした全日本と新日本という両巨頭が大きく揺らいだ。
プロレスを否定する形で産まれたUWFと、プロレスというモノを進化させる事になった天龍革命、その二つが前年までの数年間大きく隆盛したが、歴史の常として栄枯盛衰があり、どちらも歴史的役割を終えつつあった。
1990年というのは、そんな混沌の時代であり、だがエポックメイキングな年であった。
そういうカオスな時代に大仁田厚が率いたFMWは誕生した。
正直最初は「何だこりゃ」という印象だった。
今までのプロレスの価値観をひっくり返す、そんな団体だった。
「おもちゃ箱をひっくり返したようなプロレス」そう大仁田は形容したが、まさにその通りでハチャメチャだった。
こんなのもプロレスかよ!と思ったものだ。
だが、その熱心な(大仁田は途中までだが)姿勢が多くのファンを生み出し、一時期は大きな勢力となった。
プロレスが熱かった時代の、そこに関わった人達の物語。
僕に数年ぶりにプロレス本を購入させるくらい、興味深い本だった。
あの頃、毎週毎週週刊プロレス、週刊ゴング、週刊ファイトを買っていた時代を思い出させる良書だと思う。
是非ご一読ください。